2018.08.01 Wednesday
3327 ポーラ ミュージアム アネックス(中央区銀座1-7):野口哲哉展
JUGEMテーマ:美術鑑賞
ポーラ ミュージアム アネックス(中央区銀座1-7)では、野口哲哉展。
会場風景。
展覧会タイトルは、
〜中世より愛をこめて〜 From Medieval with Love。
緻密にリアルに造り込まれた鎧兜を身に着けた武士。
彼らは武者人形のように
凛々しい表情でポーズを決めているのではなく、
他人に見られたら気恥ずかしいレベルの、
気の抜けた自然体でひと時を過ごしています。
普通の人がモデルならば特段の面白味はありませんが、
それが、甲冑でフル装備した武士ならば、
馴染みのイメージからの、
急落下的ギャップによる、
可笑味が強く漂います。
しかし、在り得ない場面ではなく、
戦闘(殺戮)を生業とする特殊な人間であっても、
常にアドレナリンマックス状態ではなく、
こんな仕草の
合間や、休息のひと時があったはずです。
さらに、異様なまでの造り込みには、
作家の甲冑愛が感じられます。
甲冑という防護衣類には独特な味わいがあります。
機能や経済性に徹するならば、
明らかにオーバースペックです。
武士ならではの、
強烈な自己主張や、美意識により、
武具は美術工芸品に昇華していったのです。
鎧兜を装着した武士の
戦闘モードでない刹那に現れる
俳味が伴う人間の生な姿。
アートの本質である、
見えないが在るはずのものに出会えるという幸福な体験。
そんな印象でした。
clumsy heart
(オルビスの口紅でハートを描いている作品)
※オルビスはポーラグループ
Small sweet passion
〜南北朝の花〜
STRIPE
Samurai Box
NIGHT HEAD
Sleep Away
IRON ARMOURー雑賀風ー
THE DEERー鹿ー
ヒューマン・レース
アクションマン・シリーズ
作家はレンブラントと武士が同時代を生きていたことに、
不思議な縁を感じ取ったようです。
AD1660 日本の兜を被ったレンブラント
17C〜大水牛角の兜と南蛮胴〜
AD1637〜大波の前立兜〜
写真:筆者撮影
20180724 鑑賞