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紋谷幹男が画廊巡りの印象を綴っていきます。
3548 イヴ・クライン「人体測定ANT66」について
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    JUGEMテーマ:美術鑑賞



    年末年始で、しばらくアートシーンはお休みなので、
    現代アートの名作として知られている作品を、
    改めて見直してゆきたいと思います。

    それでは、イヴ・クラインの「人体測定ANT66」から。



    イヴ・クライン
    人体測定ANT66
    キャンバス、紙に水性メディウム
    157x311cm
    1960年 
    いわき市立美術館蔵

    等身大の4人の女性が青の単色で描かれています。
    描いたと書きましたが、
    このようなポーズを取ったモデルを絵筆で再現したのではなく、
    裸の女性をカンバスに直接押しつけ、
    その上から青い顔料を吹きかけることで、
    人体を白く型抜きするという、
    かなりストレートな画法が採用されています。

    この画法では、簡単に正確に、人体のアウトラインを
    なぞることができますが、
    等身大に限られ、
    肝心な表層は再現できません。


    普通、制作状況は知られず、
    作品だけが残りますが、
    この「人体測定」シリーズのいくつかは、
    公開制作され、
    パフォーミングアートのビデオ作品として残されています。

    正装した観客の前で、
    自作の「モノトーン・シンフォニー」を、
    オーケストラに演奏させつつ、
    正装した作家か制作しています。

    パフォーマンスの一環として、
    制作風景が劇的で、
    作品そのもののクオリティーを維持する試みとしては、
    この女性の「型抜き画法」はかなり秀逸だと思われます。

    とはいえ、残された作品はそんな背景を遠くに追いやり、
    静かに自立しています。
    具象画の極致ながら、
    様々なイメージを想起させる優れた「絵画」です。

    筆者には「女性の抜け殻」というイメージが浮かびました。
    「女性の記憶」ではなく、抜け殻。
    記憶には実態はありませんが、
    様々な暗示でその絵画化は可能です。
    抜け殻は実態そのものなので、
    抜け殻を描けば抜け殻。
    抜け殻は、抽象でも具象でもなく、空虚。
    そんな印象でした。
     

    | 印象記 | 05:13 | comments(0) | trackbacks(0) | - | 昨年の記事