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紋谷幹男が画廊巡りの印象を綴っていきます。
3552 ドナルド・ジャッド「無題 No.306」について
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    JUGEMテーマ:美術鑑賞

     

    5回目は、ドナルド・ジャッド「無題 No.306」について。



    ドナルド・ジャッド
    無題 No.306
    1973年
    コールド・ロールド・スチール
    各23.0×101.6×78.7cm(10点組)

    ちょうどオフィスデスク程度のサイズで、
    厚みが23cmのスチールの中空の箱が10個、
    等間隔で縦に1列、壁に取り付けられています。

    何かの設備のように見えますが、
    機能を持たないファインアートです。

    絵画ではないので立体作品と呼びたいのですが、
    そう呼ぶことが、ためらわれるのは、
    この作品が何かを模倣したり、暗示、象徴したり、
    作家の感情や思想が入ったりすることなく、
    何も発せず、語らず、
    じっと見ていても、何も受け取れないという、
    作品の前での居心地の悪さというか、
    場の持てなさ、があるからです。

    では、ストイックで厳格な美を体現しているのでしょうか。
    これは受け手の感性の問題ですが、
    筆者には物量的、素材的迫力は感じられても、
    美しさは感じられません。



    例えばこれは、
    建築家のデヴィッド・チッパーフィールドがデザインした
    ローテーブルですが、
    エッジの効いたシャープなフォルムなら、
    自動的に美しくなるわけではなく、
    このような、美しさに至る、
    かなり厳しく細かい手続きが必要になります。

    美しさでもなく再現でもないならば、
    ドナルド・ジャッドは何を目指したのでしょうか。

    ミニマル・アートを文字通り捉えるならば、
    箱は10個ではなく、1個の方がミニマルで、

    4面で構成される「箱」よりも、
    1面の「板」の方がもっとミニマルでしょう。

    厚みが極力薄い板による箱を、
    10個縦に並べるという意思だけが、

    絵画でも彫刻でもない、この事態に導きました。

    制作主題やモチベーションなど、
    製作者の影を消し去った
    ファインアート(制作を目的とした制作物)が存在するならば、
    真の自由なイリュージョンを起こし得るのだろう。
    そんな印象でした。

     
    | 印象記 | 05:18 | comments(0) | trackbacks(0) | - | 昨年の記事