2019.01.13 Sunday
3556 マーク・ロスコ「シーグラム壁画」について
JUGEMテーマ:美術鑑賞
10回目は、マーク・ロスコ「シーグラム壁画」について。
千葉県佐倉市、DIC川村記念美術館のロスコ・ルーム
イギリス・ロンドン、テート・ギャラリーのロスコ・ルーム
アメリカ・ワシントン、フィリップス・コレクションのロスコ・ルーム
マーク・ロスコ
「壁画 No.4」のためのスケッチ
1958年
カンヴァス 265.8 x 379.4cm
絵具、顔料、溶き油、膠、全卵、天然樹脂、合成樹脂
マーク・ロスコ「シーグラム壁画」は、
ニューヨークのシーグラム・ビルにオープンする
フォー・シーズンズ・レストランのために、
一年半を費やして描いた連作30点のことです。
しかし、オープン前のレストランを見たマーク・ロスコが
展示を拒否したためこの計画は実現せず、画家の死後、
作品は3つの美術館に分割収蔵されることになりました。
3美術館は画家の当初の意図を実現するために、
シーグラム壁画のみで構成された部屋を用意ししました。
ロスコ・ルームです。
全体の半数以上が横長の画面で、
多くは横幅が4.5メートルに及ぶ巨大な作品です。
大画面の中に、いくつかの輪郭の柔らかい四角形が浮かぶ、
共通のスタイル(ロスコ・スタイル)のバリエーションです。
画家本人も含め、
これらの絵画世界から何を浴び、
何を感じ取るかは、
接した人の数分のバリエーションがあるのでしょうが、
筆者は下記の感じです。
窓や扉にみえるものの、
具体的な何かの抽象化や、ディフォルメ、単純化ではなく、
画家の内面世界、記憶や潜在意識でもなく、
つまり画家が支配できる領域の様子を、
映写したのではなく、
もっと深い所に潜む、
根源的な畏れといったもの。
そんな深い所で蠢くものは、
パーソナルな経験により発生したのではなく、
人として存在していることの必須である、
太古から受け継がれたものなのでしょう。
だから、観る側は傍観者ではなく、
本人の何かと対面してしまうような感覚を得るのだと
思われます。
「自身の何かと出合う」状況を現出させる絵画。
そんな印象でした。