2019.05.15 Wednesday
3728 ANOMALY(品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 4F):小谷元彦 個展
JUGEMテーマ:美術鑑賞
ANOMALY(品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 4F)
では、小谷元彦 個展。
会場風景。
展覧会タイトルは、「TulpaーHere is me」。
広いコンクリート打ち放しの空間に、
鈍い光を放つ金属性の人物像たちが、
それぞれの時間を凍結させています。
人体像の頭部は虫も含めて全て彫刻家本人のものなので、
それぞれに設定された具体的な状況は、
本人個人に関わるモデリング(セルフポートレイト)です。
作家は、2017年に突然の心筋梗塞に倒れました。
通常、具象的な人体彫刻では
理想の身体が追及され、
制作のモチベーションは身体への思索ですが、
ここでは、身体は媒体であって、
死生観の表現が身体に仮託されたようです。
様々なパーツを揃え、
強引に組み合わせ、
ありえない状況をリアルに造り込むことで、
シュールレアリスム的に、
無垢なメッセージが開放されます。
意識されるものに形を与えることによって、
意識そのものを記号化し、
それらを合体させることで、
ここだけの意味が生まれています。
感情的な状況を描写するには
確かに言語では無理だな。
そんな印象でした。
買い物カートに乗せられた車椅子。
額に生えた角、体に発生した漏斗。
心臓の超音波画像。
背中の水栓と漏斗。
車椅子を押す手。
害虫駆除を行う人物の顔で、
蛇のような脱皮が始まります。
昆虫は作家の顔。
植物化した顔。
何かの暗示であろうヒトデ。
裸足の足と、足のない靴。
Tulpa - Honeycomb man
歩く男の影から小さな人が這い上がってきます。
顔は投光するハニカムの六角形。
ロープにぶら下がる男。
背中から3本目の腕。
蛾が張り付いたようなマスク。
絞首刑を連想させるロープ。
投影された虹。
子供サイズですが顔は
脱皮中の作家。
心臓の鼓動が漏れる
別の処でぶら下がる受話器とは関係があるのか。
2つ目の車椅子の作品は、
スパッと切断されています。
周囲に漂う体のパーツ群は、
小さな扇風機の風でかすかに揺れています。
切断面。
Tulpa - Starfish girl
作家の顔を持たない空中の少女像。
顔を貫くヒトデ。
個室には裸体と着衣の向かい合うゴリラ。
着衣のゴリラは投光器で裸体のゴリラを
照射しています。
傾いた電話ボックスと電柱、電線だけのジオラマ。
写真:筆者撮影
20190424 鑑賞