2018.02.21 Wednesday
3041 ギャラリー川船(中央区京橋3-3):高田啓二郎展
JUGEMテーマ:美術鑑賞
ギャラリー川船(中央区京橋3-3)では、高田啓二郎展。
会場風景。
顔、顔、顔。
描かれたのは青年の顔で、
背景、行動、態度、仕草などの「説明」は
表現されていません。
表情も読み取れませんが、
無表情ではなく、
内面で起こっている何事かが、
目の奥から染み出ていて、
こちらを落ち着かない気分にさせますが、
それが「青年」と共感できることに、
不思議な心地良さがあります。
優れた絵画なのでしょう。
さて、
多くの作品には日付が書かれていて、
そのほとんどが68〜71年。
絵画作品のほとんどは、半世紀前、
画家が18歳前後に描かれた自画像です。
この後、画家は、絵画制作を絶ち、
約20年間一日の大半を自室で過ごし、
1993年、リューマチによる心筋梗塞で永眠しました。
享年41歳。
展示された作品は、
病に冒され、与えられた人生の長さや、
自宅での絵画制作以外の行動に、
決定的な限界を自覚した青年の作品なのです。
アート観賞は、作品そのものとの対峙ですから、
制作の背景、事情は考慮されませんが、
最初に感じた不思議な心地良さは、
画家がとにかく手を動かしていて、
そこから湧き出てきた、現実に見ることが不可能な顔に、
鑑賞者自身をも重ねられる、
人間の「厚み」があるから。
そんな印象でした。
写真:筆者撮影
20180220 観賞