2018.10.03 Wednesday
3393 GalleryK(中央区京橋3-9):菅野泰史 個展
JUGEMテーマ:美術鑑賞
GalleryK(中央区京橋3-9)では、菅野泰史 個展。
会場風景。
展覧会タイトルは、ー海のトレースー。
同一サイズ、黒い正方形の板状の作品が、
均等に並んでいます。
遠目ではその実態が把握できませんが、
普通の鑑賞距離に近付けば、
表面での出来事が見えてきます。
黒御影石の石彫作品です。
表面は細かい襞で覆われていて、
かつ、滑らかに磨かれています。
作品は、海の水面を再現したレリーフなのです。
彫刻家は福島県から青森県までの沿岸部をめぐり、
各ポイントの海の表情を写真に撮り、
石板に転写させてその通りに彫り込んでいます。
これらの石彫作品は、
海を写した写真の御影石への立体的転写です。
写真は二次元情報なので、
立体への置き換えは彫刻家の感性、手業の賜物です。
海岸から眺める海、
海を写し撮った写真、
写真を写し彫った彫刻作品。
実態の海は、写真、彫刻への様変わりを通して、
別の実態として出現します。
このように凍結されることで、
具象の極地に抽象が存在し、
静寂の中に内なる何事かが封じられている。
そんな印象でした。
写真:筆者撮影
20180925 鑑賞