2018.12.09 Sunday
3521 ユカ・ツルノ・ギャラリー(品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F):流麻二果展
JUGEMテーマ:美術鑑賞
ユカ・ツルノ・ギャラリー
(品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F)
では、流麻二果(Manika Nagare)展。
会場風景。
展覧会タイトルは、
ー「色の足処」The Colors Have Gone Throughー。
具体的な図像のない、
色の薄い重なりだけで成り立つ抽象表現ですが、
青地に紫色の雲がたなびくような作品に、
ー色の跡:和田三造「南風」ー
という作品名が付けられていることにはっとします。
近代西洋絵画の記念碑的な作品、
和田三造の「南風」は、1907(明治40)年作の、
東京国立近代美術館蔵の国指定重要文化財です。
強い陽射しが降り注ぐ海の上の、
舟上の4人の男。
赤い腰布1枚の若く逞しい男が中央に立っています。
和田三造の「南風」が、
この画家というフィルターを通り、濾過され、
さらに画家を触媒とする化学反応が起こり、
この絵が現れています。
省略されたのではなく、
「南風」の日差しを成り立たせている何かの深度が深められ、
純化されています。
抽象的ですが、
陽射しや空間そのものが
色面だけの世界の中に造形化されている不思議さ。
そんな印象でした。
作品と部分詳細。
作品と部分詳細。
色の跡:和田三造「南風」
作品と部分詳細。
写真:筆者撮影
20181204 鑑賞