藍画廊(中央区銀座1-5)では、「画廊からの発言 新世代への視点 2015」
カナイサワコ展。
7/20(月)〜8/1(土)は、
−画廊からの発言「新世代への視点2015」−が開催されています。
※主催:東京現代美術画廊会議
銀座・京橋を中心とした全12画廊が推薦する、
新鋭作家の個展が各会場で同時開催。
ここ「藍画廊」では、カナイサワコ展。
会場風景。
真っ白い空間に、
真っ白い台が置かれ、
その上に磨ガラスのオブジェが展示されています。
なんだか、時間や重力があいまいになってしまう、
不思議な身体感覚。
随分と繊細なガラス細工だなあ、と眺めていましたら、
画廊の方から、制作過程を御教示頂きました。
既成品(工業製品)のガラスの瓶やコップに、
サンドブラストの手法で加工したとのこと。
サンドブラストとはガラスに砂(研磨材)を吹きかけ,
表面をスリガラスに削る技法です。
筆者もどこかの観光地の体験工房でやってみて、
面白くて夢中になった記憶があります。
例えば、透明ガラスのコップ全体にマスキングシートを貼り、
文字や絵柄を残したい部分のみマスキングを切り取り、
サンドブラストを行なうと、対象部分だけに研磨材を吹き付けられ、
すりガラスとなり、マスキングで守られた透明な部分との対比で、
模様や文字が浮かびあがります。
さて、作家はサンドブラストの技法を、
模様を付けるという生半可な目的ではなく、
ガラス製品そのものを削り続けることで、
切断したり穴を開けたり、といった、
形状の加工というドラスティックな目的で用いています。
原理的には理解できますが、
その手間やテクニックについては想像を超えます。
かつて食卓を飾ったり、
キッチンで活用した瓶やコップが、
朽ち溶けたような姿になっています。
ガラスの経年変化の姿としては、
何度も波に打たれるうちに丸くなったガラス=ビーチグラスが
思い浮かびますが、
このように原型を留めながら、風雪に丸く削られた姿は、
自然現象的には非現実的です。
しかし、筆者は違和感無く受け入れている自分に気付きます。
悠久の時間の推移、
イメージと実態、記憶と現実。
作家によって姿を変えられたガラス製品は、
心に働き掛けるオブジェに変容しています。
20150722 観賞