2018.12.31 Monday
3543 国立新美術館(港区六本木7-22):シェル美術賞展2018・4
JUGEMテーマ:美術鑑賞
国立新美術館(港区六本木7-22)では、シェル美術賞展2018。
会場風景。
筆者にとっては今年最後の公募展鑑賞。
美術鑑賞の「面白さ」の尺度はたくさんありますが、
なんとなく、とにかく面白いという、
アナーキーな評価基準ならば、
シェル美術賞展が一番面白いです。
時代を担う若手作家を発掘することを目的にした、
コンクール形式の公募展で、
国展、独立展、白日会、新制作のような
美術団体主催の公募展ではなく、
ということで、付属する団体のテイストに左右されません。
有力公募展は、
基本的な画力と、
作品に込められた労力、エネルギーの絶対量を
評価する傾向があり、
その結果、わかりやすい「力作」揃いになることに対し、
このシェル美術賞展は、
評価基準が多様、多彩なので、
肩肘張らない、作家の自然体が現れ、
「そもそも絵画って何だっけ?」的な
様々な次元の作品に出会えるのです。
同時に、現代美術における
「若手作家の登竜門」として美術界では評価が確立していて、
現在活躍しているアーティストの中には、
シェル美術賞展の受賞によって、
ギャラリストやキュレーター、メディアに見出され、
作家活動を継続している人も少なくありません。
現代日本のアートシーンを体感(予感)するには最適な展覧会です。
さすがに、受賞・入選のレベルは高く、
個性的な自己主張やインパクトはもちろん、
絵画的納まりも良質で、
なるほど、商業ベースに乗ることが予想されました。
筆者の独断的趣味で選んだ25作品を5回に分けて、
紹介する4回目。
※作品ごとに、作家の制作コメントも
添えられていましたので、
要約転記しておきました。
工藤千紘
Sign
戎(いくさ)の気配を感じると、
人はそれに抗うかのように可愛く、
美しくなっていくような気がした。
辻原 周
ラブソング
今の感覚を大事にすることができれば、
自分だけが最初に見る、
その絵の真実のようなものに出会える。
志水聡香
居留守2
じゃまっけなパーツをどれだけへらせるか。
外のことはなるたけしらないふりで、
ばればれだって
居留守をつかって描いてゆく。
吉竹昌子
着替え
つぼみがひらき、香り、いつのまにか散る。
おわったのかはじまったのかよくわからない。
鏡の前に立って見ると、
つづくことは悲しいことだと思う。
宮原 寛
目と頭で見た
写真を撮っても
自分に納得のいかない写真は、
目で見た感動がファインダー越しでは収められなかったなら、
それを絵画に置き換えることによって
目で見たときの感動やそれ以上のものを
表現できると考えました。
写真:筆者撮影
20181212 鑑賞